祐太郎さん
レビュアー:
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年齢、収入、既婚・未婚、母か否か、すべての属性を破壊する「女子」の破壊力をファッション誌から読み解く注目の1冊!
「女子」という言葉を大人の女性たちが自らに対して使い始めて10年を超えました。
女子会、○○女子などという言葉は数知れず。そんな「女子」という存在をファッション誌から読み解いていくのが本書。著者は「腐女子」「文化系女子」ばかりの研究世界でファッション・コスメを愛し続けてたという米澤泉。世に存在する多くのコスメフリーク女子たちの代弁者として、著者は「女子」の発展史を綴っていきます。
1982年に少女向けの初のファッション誌『Olive』が創刊、『Olive』よりもサブカル志向が強いストリートファッション系『CUTiE』が1989年に創刊。これらで「カワイイ文化」「自分のために服を着る」という機運が醸成されていきました。これらは男にモテることを目的とし、かつ、キャンパス制服(例:30日間着まわしコーデ)志向の強い『JJ』『an・an』などとは一線を画すものでした。
そして、1999年に『Sweet』が「28才、一生”女子”宣言!」というキャッチコピーで誕生。一気に「女子」が世の中を席巻していきます。「女子」という未熟さ(カワイイ)が持つ力はありとあらゆる枠組みを打ち破っていきます。年齢も、既婚か未婚かバツありか、子どもがいるかいないかも含めて「自分らしく」「自分のために」可愛くいたいという女性の根本心理に働きかけいきます。その場に「男」は中心にはいません。男にモテたいから綺麗になりたいのではなく、綺麗になるために恋を道具に使うことも厭わないのです。この現象を見ていると、マーケティングとは対象を細分化することで行うことだという「常識」も破壊しています。
著者はファッション誌における「女子」とは女子校における「私萌え」文化の広がりだと主張しています。そこでは、男は必要なく、自分を評価する女も必要なく、あくまで着せ替え人形としての私遊びの快楽だと論じます。
いやぁ、40代目の前の2児のパパ(妻は事実上の専業主婦)にはアングリするしかない世界がそこにありました。
一方、著者は今年44歳の未婚女子でもあります。だからこそなのか、結婚をゴールとし、玉の輿・新専業主婦など男に人生を預けるような『JJ』『VERY』に代表される雑誌及び購買者を毛嫌いしている向きが非常に強いという側面があります。研究者としてこの感情むき出しな態度はどうなのかと思う部分も少なからずあります。今年30歳の古市憲寿あたりからすると「第2次ベビーブーマーらしい熱さ」とでもいいそうです。
既婚・子持ち男性の私とすると、「結婚」と「子育て」はそれぞれ相互依存的な部分が多いものの別個のものであることへの理解が足らないのではと思うんですね。子どもを産み育てたいのなら、女で一人よりも複数の方がいいのであり、それは子どもの遺伝子を持っている男が一番便利なのですから。そこにどこまで依存するのかは個々のカップルの環境によると思うんですよね。「結婚」とは女性が「子育て」をするためのツールの一つでしかないと思うんですよね。ファッションに選択の自由を強く主張するなら、生き方だって避難しちゃいけないと思うのですが、著者はそういう雑誌&女性への非難をやめることはなさそうです。
ちなみに、この本は雑誌のキャッチコピーが満載です。
一般男性には、なんでこんなキャッチコピーに「女子」たちが狂喜乱舞するのか理解はできませんが、「女子」たちを知るためには非常に興味深い1冊となっています。
ぜひとも、「女子」たちの書評が数多く上がるのを期待しています。
女子会、○○女子などという言葉は数知れず。そんな「女子」という存在をファッション誌から読み解いていくのが本書。著者は「腐女子」「文化系女子」ばかりの研究世界でファッション・コスメを愛し続けてたという米澤泉。世に存在する多くのコスメフリーク女子たちの代弁者として、著者は「女子」の発展史を綴っていきます。
1982年に少女向けの初のファッション誌『Olive』が創刊、『Olive』よりもサブカル志向が強いストリートファッション系『CUTiE』が1989年に創刊。これらで「カワイイ文化」「自分のために服を着る」という機運が醸成されていきました。これらは男にモテることを目的とし、かつ、キャンパス制服(例:30日間着まわしコーデ)志向の強い『JJ』『an・an』などとは一線を画すものでした。
そして、1999年に『Sweet』が「28才、一生”女子”宣言!」というキャッチコピーで誕生。一気に「女子」が世の中を席巻していきます。「女子」という未熟さ(カワイイ)が持つ力はありとあらゆる枠組みを打ち破っていきます。年齢も、既婚か未婚かバツありか、子どもがいるかいないかも含めて「自分らしく」「自分のために」可愛くいたいという女性の根本心理に働きかけいきます。その場に「男」は中心にはいません。男にモテたいから綺麗になりたいのではなく、綺麗になるために恋を道具に使うことも厭わないのです。この現象を見ていると、マーケティングとは対象を細分化することで行うことだという「常識」も破壊しています。
著者はファッション誌における「女子」とは女子校における「私萌え」文化の広がりだと主張しています。そこでは、男は必要なく、自分を評価する女も必要なく、あくまで着せ替え人形としての私遊びの快楽だと論じます。
いやぁ、40代目の前の2児のパパ(妻は事実上の専業主婦)にはアングリするしかない世界がそこにありました。
一方、著者は今年44歳の未婚女子でもあります。だからこそなのか、結婚をゴールとし、玉の輿・新専業主婦など男に人生を預けるような『JJ』『VERY』に代表される雑誌及び購買者を毛嫌いしている向きが非常に強いという側面があります。研究者としてこの感情むき出しな態度はどうなのかと思う部分も少なからずあります。今年30歳の古市憲寿あたりからすると「第2次ベビーブーマーらしい熱さ」とでもいいそうです。
既婚・子持ち男性の私とすると、「結婚」と「子育て」はそれぞれ相互依存的な部分が多いものの別個のものであることへの理解が足らないのではと思うんですね。子どもを産み育てたいのなら、女で一人よりも複数の方がいいのであり、それは子どもの遺伝子を持っている男が一番便利なのですから。そこにどこまで依存するのかは個々のカップルの環境によると思うんですよね。「結婚」とは女性が「子育て」をするためのツールの一つでしかないと思うんですよね。ファッションに選択の自由を強く主張するなら、生き方だって避難しちゃいけないと思うのですが、著者はそういう雑誌&女性への非難をやめることはなさそうです。
ちなみに、この本は雑誌のキャッチコピーが満載です。
「28才、一生”女子”宣言!」(Sweet。1999年創刊)
「コンサバより若くて華やか、ギャルより可愛くてリッチ25歳からのバラ色のおしゃれ人生をフィーチャー!」(美人百花。2005年創刊)
「アラサーになっても、仕事ができても、結婚しても、『ガール』な大人たちへ!」(andGIRL。2012年創刊)
「うちのママは、世界一カワイイ。」(SAKURA。2011年創刊)
「好きに生きてこそ、一生女子!私たち40代、輝きます宣言!」(GLOW。2010年創刊)
一般男性には、なんでこんなキャッチコピーに「女子」たちが狂喜乱舞するのか理解はできませんが、「女子」たちを知るためには非常に興味深い1冊となっています。
ぜひとも、「女子」たちの書評が数多く上がるのを期待しています。
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片道45分の通勤電車を利用して読書している
アラフィフ世代の3児の父。
★基準
★★★★★:新刊(定価)で買ってでも満足できる本
★★★★:新古書価格・kindleで買ったり、図書館で予約待ちしてでも満足できる本
★★★:100均価格で買ったり図書館で何気なくあって借りるなら満足できる本
★★:どうしても本がないときの時間つぶし程度ならいいのでは?
★:う~ん
★なし:雑誌などの一言書評
※仕事関係の本はすべて★★★で統一します。
プロフィールの画像はうちの末っ子の似顔絵を田中かえが描いたものです。
2024年3月20日更新
この書評へのコメント
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- 出版社:勁草書房
- ページ数:232
- ISBN:9784326653898
- 発売日:2014年07月31日
- 価格:2808円
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