有坂汀さん
レビュアー:
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本書は「變態辣椒」のペンネームで描く全229本の4コマ漫画と巻末に東京大学大学院の阿古智子准教授との対談を収録した「風刺漫画」です。現代中国最大のタブーである『天安門事件』をこう扱うとは…。
本書は中華人民共和国・新疆ウイグル自治区生まれで、中国にいた当時は広告会社に勤めながら、2009年から「変態辣椒」のペンネームで現代中国の政治風刺漫画をネット上で発表し、それが大きな反響を呼ぶも、それがお上の逆鱗に触れて日本での「亡命」生活を余儀なくされた王立銘こと「辣椒」氏が描く「現代中国」の「裏の裏」です。
全編が4コマ漫画で、全部で299本収録されているのですが、そのほとんどをここまで迫害を受けながらもあくまでコミカルに、かつユーモラスに描いている姿に、本書を手に取ったのは全くの偶然ながらも、最後まで読みふけってしまいました。
反日教育、言論弾圧、愚民化政策、拷問、洗脳、汚職…。本書を読んでいると中国においてはネットで共産党の悪口を呟くと個人まで特定され、政治警察からお茶に誘われると警告のサインであったり、日本の漫画の影響をもろに受けて「抗日神劇」が制作されているとか(これについては逆に見てみたかった)、中国版『紅白歌合戦』が共産党側の露骨なプロパガンダであり、その裏では「暗闘」が繰り広げられているなど、さまざまな角度から紹介されていて、読んでいてとても面白かったです。
ただ、現在中国最大のタブーである毛沢東時代に行われた『大躍進』や『文化大革命』などの失敗。さらに、『天安門事件』を取り上げたかと思えばSEALDsのデモに習近平を召喚させてのシミュレーション…。ここまで行くと
「さすがに中国では出版できないだろうなぁ…。」
と感じずにはいられませんでした。
巻末には氏と『貧者を喰らう国―中国格差社会からの警告【増補新版】―(新潮選書)』(新潮社)の著書がある東京大学大学院総合文化研究科准教授の阿古智子先生をお迎えしての対談も、十分に読みごたえがあるものでした。
そして、帰国を断念した辣椒氏は日本で埼玉大学の研究員としての肩書を得つつ、『新潮45』や『ニューズウィーク日本語版』でコラムを連載し、漫画家としての活動を継続するも、2017年5月にはアメリカへ移住したとのことです。
個人で国家と対峙するのは「茨の道」と推察しますが、幸多からんことを…。
全編が4コマ漫画で、全部で299本収録されているのですが、そのほとんどをここまで迫害を受けながらもあくまでコミカルに、かつユーモラスに描いている姿に、本書を手に取ったのは全くの偶然ながらも、最後まで読みふけってしまいました。
反日教育、言論弾圧、愚民化政策、拷問、洗脳、汚職…。本書を読んでいると中国においてはネットで共産党の悪口を呟くと個人まで特定され、政治警察からお茶に誘われると警告のサインであったり、日本の漫画の影響をもろに受けて「抗日神劇」が制作されているとか(これについては逆に見てみたかった)、中国版『紅白歌合戦』が共産党側の露骨なプロパガンダであり、その裏では「暗闘」が繰り広げられているなど、さまざまな角度から紹介されていて、読んでいてとても面白かったです。
ただ、現在中国最大のタブーである毛沢東時代に行われた『大躍進』や『文化大革命』などの失敗。さらに、『天安門事件』を取り上げたかと思えばSEALDsのデモに習近平を召喚させてのシミュレーション…。ここまで行くと
「さすがに中国では出版できないだろうなぁ…。」
と感じずにはいられませんでした。
巻末には氏と『貧者を喰らう国―中国格差社会からの警告【増補新版】―(新潮選書)』(新潮社)の著書がある東京大学大学院総合文化研究科准教授の阿古智子先生をお迎えしての対談も、十分に読みごたえがあるものでした。
そして、帰国を断念した辣椒氏は日本で埼玉大学の研究員としての肩書を得つつ、『新潮45』や『ニューズウィーク日本語版』でコラムを連載し、漫画家としての活動を継続するも、2017年5月にはアメリカへ移住したとのことです。
個人で国家と対峙するのは「茨の道」と推察しますが、幸多からんことを…。
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有坂汀です。偶然立ち寄ったので始めてみることにしました。ここでは私が現在メインで運営しているブログ『誇りを失った豚は、喰われるしかない。』であげた書評をさらにアレンジしてアップしております。
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- 出版社:新潮社
- ページ数:159
- ISBN:9784105070212
- 発売日:2017年01月18日
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