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くてたま
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イギリスの作家、「カササギ殺人事件」で著名に。2017年の作品。被害者は葬儀屋で自分の葬儀の手配をした。そしてその日のうちに殺害された。元刑事ホーソーンと語り手アンソニーのコンビが事件の謎を追う。
語り手は著者アンソニー・ホロヴィゥツ。カササギしか知らなかったが、コナン・ドイル財団公式認定のホームズ作品があり、イアン・フレミング財団からも007シリーズ品の認定を受けている。と本文の語り手紹介で出てくる。
えらく具体的だなと思いつつ、著者の創作だと思っていたら、最後の解説でホームズ品二作「絹の家」「モリアーティー」、007シリーズ「逆襲のトリガー」は本当に著者の作品だそうだ。寡聞にして知らずに、コロッと騙されてしまった。

語り手は以前ドラマの脚本で知恵を借りた元刑事ホーソーンから自分の小説を書いてくれと依頼された。彼は警察は不祥事で馘になっていたが、顧問として難解な事件の捜査を行っているらしい。今から捜査を開始するのでワトソン君になって捜査に同行することを求められた。出版後の儲けは半々、経費も半々で、あまり乗り気ではないが引き受けた。

ホーソーンはくたびれた服装でタクシー代や食費をいつも語り手に払わせる。経費は半々だとクレームを付けたら、その時だけボロボロの10ポンド紙幣で払ったが、財布の中身はその札だけだった。
関係者に話を聞くときに、自分の思考を邪魔しないため口をきくなと言われた。腹が立つので口を出すとその都度にらまれた。

被害者は中年女性で棺は段ボールを希望したが、段ボール製は在庫がなく、ヤナギの枝で編んだものにした。被害者は葬儀の手配が済むと、肩の荷を下ろしたように晴れ晴れとした様子で帰宅したらしい。葬儀では棺を納めようとするとき棺の中から童謡が聞こえてきた。葬儀屋の不始末に立腹した被害者の長男は席を立って帰宅した。

被害者は十年前に自動車事故を起こし8才の双子をはね、一人は即死し一人は重篤な後遺症が残っていた。棺の中から聞こえた童謡は双子の誕生日に歌っていたものらしい。どうやら今回の殺人事件は十年前の事故と関連がある。18才になった障害者で車椅子生活だが、父親、母親と当時の乳母が恨みを持っている。

次の殺人被害者は立腹して帰った長男で、帰宅後刃物で惨殺された。長男はアメリカで俳優をしており、母親の葬儀に帰国していた。母親の殺害は長男を帰国させるための手段かもしれない。葬儀に参加した人間が怪しい。

ホーソーンとワトソン君は十年前の事故を中心に推理を進める。どうして長男まで殺すのか。ワトソン君はホーソーンを出し抜いてやろうと、自分の推理で犯人を推測し行動する。どちらが先に犯人に行き着くのか・・・


かささぎは前編と後編を読むタイミングがずれたので、それほど強烈な印象はなかったが、この小説個人的には前作を凌ぐ秀作と感じた。このコンビでシリーズものになるそうなので、これからも楽しみ。


自分の葬儀を終活として企画する人がいてもおかしくない。キリスト教の葬儀ではどんな歌を歌い、どんな詩を朗読するかなどの選択肢があるらしい。その点日本の葬式仏教では詩編を読み、シルヴィア・プラスの詩を朗読してくれというのは難しい。
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くてたま
くてたま さん本が好き!1級(書評数:390 件)

花の年金生活者です。
勤労者の皆様お仕事ご苦労様です。皆様のお陰で朝からお酒を戴きながら本が読めます。
二年ほど前まではアウトドア派で、山渓の「日本の山1000」を目指していました。五街道まで足を広げたら、歩きすぎで戸塚宿で足萎えになり、525山で中断しています。

代わりに、「ガーディアンマストリード1000」を目標としています。難しい本は読めませんが・・

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