絶対読むべき日本の民話 遠野物語【Kindle】
遠野地方に伝わる伝承を記した説話集。不思議で奇妙でちょっと怖い、そんな昔話。語り伝える人にとっては、それはすべて真実なのでしょう。ザシキワラシも川童も天狗も。川童の子を生んだ女がいるというからには。
岩手県遠野を旅する機会があり、それに合わせて柳田国男の『遠野物語』を読みました。遠野地方に伝わる伝…
本が好き! 1級
書評数:401 件
得票数:8812 票
国文科出身の介護支援専門員です。
文学を離れて働く今も、読書はライフワークです。
遠野地方に伝わる伝承を記した説話集。不思議で奇妙でちょっと怖い、そんな昔話。語り伝える人にとっては、それはすべて真実なのでしょう。ザシキワラシも川童も天狗も。川童の子を生んだ女がいるというからには。
岩手県遠野を旅する機会があり、それに合わせて柳田国男の『遠野物語』を読みました。遠野地方に伝わる伝…
ミステリーの王道を行くクリスティーの代表作のひとつです。トリックとストーリー性にひかれ、急かされるように読み進めました。犯人を知ってからもう一度読むと、新たな気づきに出会えてまた面白いかもしれません。
クリスティーと言えば、『そして誰もいなくなった』や『オリエント急行殺人事件』、『ABC殺人事件』な…
通り魔による殺人事件は、折り重なる犯罪劇の序章にすぎませんでした。世の中には絶対的な正義も、全てを解決してくれるスーパーマンも存在せず、だからこそ私も、いつ犯罪者となってしまうかもしれない。その恐怖。
新たな作家との素晴らしい出会いがありました。「解説」によると作者はテレビドラマの脚本家であり、本作…
認知症老人と介護する家族の日常を描いた作品。当時に比べ支援制度が充実した現在も、比例して増加し続ける要介護老人。1972年出版の作品は今もリアルに、色あせることなく老いの問題を私たちに突き付けます。
出版は1972年。まだ介護という言葉すらない、介護保険制度ももちろんない、そんな時代の認知症老人と…
沖縄県下の中学生に発令された召集令状。戦って死ぬことを望みながら、米軍の一方的な砲撃の前に、ただ歩き続けるしかない幼い兵士。彼の足跡を辿るだけで、読者はこの悲惨な戦争を存分になめつくすことができます。
昭和20年3月。沖縄県下の中学生に召集令が発令され、3年生以上の生徒は全員が召集令状を受け、鉄血勤…
米軍の俘虜となった作者自身が、収容所での生活を克明に描き綴った作品。無聊を持て余す日々の出来事をただ書くことにより、作者は俘虜たちの思いを読者に委ねました。果たして彼等は本当に生きているのだろうかと。
1945年1月、フィリピンのミンドロ島にて米軍の俘虜となった作者自身の体験を、詳細に綴った作品です…
ウイルスという肉眼では見ることのできない微細な生物の前に、人間は何と無力なことか。地球という巨大な星がもたらす脅威の前に、人間は何と小さな存在なのか。それでもまだ戦争を止めない人類。世界は変わらない。
SFというジャンルは、いつも私に地球とそれを内包する宇宙の大きさ、それと比較した人間のちっぽけさを…
あの時の偶然が変えた人生。死んでいたかもしれない自分。そんな恐怖がホラーという手法で描かれます。太平洋戦争で死んだ大伯父が、墓や夢に現れては変えてゆく運命。火喰鳥は一体何を象徴しているのでしょうか?
あの偶然がなかったら、私は死んでいたかもしれない。あの時違う選択をしていたら、別の人生があったかも…
画一化された道徳教育に対し、人間の本質をユーモアたっぷりに描いたエッセイ。コンプライアンス重視が叫ばれる昨今だからこそ読むべき本。三島由紀夫が自死したのはそれから11年後。一体何があったのでしょうか。
「大いにウソをつくべし」「友人を裏切るべし」「弱い者をいじめるべし」「罪は人になすりつけるべし」「…
アルマンと出会い、幸せを知ったのもつかの間、孤独に死んでいく娼婦マルグリット。私生児である作者は、娼婦の運命を読者に憐れんでほしかったのでしょうか。『マノン・レスコー』と合わせて読むのがお勧めです。
美しい娼婦マルグリットに恋をしたお坊ちゃまのアルマン。その構図は 『マノン・レスコー』 と同じで、…
『椿姫』のマルグリットがアルマンとの出会いにより幸せを見出したのに対して、マノンはグリュウを悪徳の世界に引きずり込みました。美しく罪深い女マノンにとって、グリュウとの恋愛に幸福はあったのでしょうか。
同じフランス人作家デュマ・フィスの『椿姫』の作中で、若き恋人アルマンが娼婦マルグリットにプレゼント…
彼はなぜ金閣寺に放火したのか。本当のことはわからない。それでも、作者が長い歳月をかけて徹底的に調べ抜き、書き上げた本著からは、犯人の具体的な人物像と金閣寺の抱える矛盾点が自ずと浮かび上がってきます。
金閣寺の学生僧による金閣寺放火事件が発生したのは1950年7月2日。作家水上勉は、20年の歳月をか…
水上勉が三島由紀夫『金閣寺』へのアンサーとして書いたフィクション。憐れにもはかなく散った若い娼妓の運命にからむ、吃音症のある修行僧。哀しい女の境遇は、ただ彼女の身も心も蝕むことしかできませんでした。
1962年に発表されたこの作品は、1956年に出た三島由紀夫の 『金閣寺』 に対するアンサーだと言…
人生という名の長い坂道を、私もまた歩き続けている。この物語は三浦主水正という侍の人生を描くことで、読者にそんなことを教えてくれます。死ぬその瞬間まで歩みを止めることはない。それが人間だと。上下2巻。
私自身もまた、人生という名の長い坂を歩き続けている。そう思いました。その坂は時に急になり、緩やかに…
「マルタの鷹」という彫刻を巡って繰り広げられるハードボイルド。クールな中年の私立探偵と謎の美女。アクションとドライな結末。行間に隠された謎に迫られつい先を読まされますが、実は映像向きかもしれません。
こういうのをハードボイルドと呼ぶのだろうと、ハードボイルドの定義もよく理解できていない私が思いまし…
私の夢を、次々にかなえてくれた大好きなオルフェーヴル。そんなオルフェーヴルについて、競馬ライターたちが存分に語った本。強さの裏にある関係者たちの苦労。血統の奇跡。読み終えた私が次に彼に託す夢とは…。
私にとってオルフェーヴルは、夢をかなえてくれる馬でした。三冠馬という夢、3歳での三冠+有馬記念とい…
『嵐』の続編となる藤村の自伝的短編小説。叢書の出版で思いがけず手に入れた大金を、いとも簡単に子供たちに分配してしまう「私」。藤村一家のお金に対するルーズさが、さらに際立つ気がしたのは私だけでしょうか。
島崎藤村の自伝的短編小説で、 『嵐』 の続編と言えます。 田舎で農業に従事するようになった…
藤村の自伝的短編のひとつ。母を亡くした4人の子と共に生活していた頃の、嵐のような毎日が描かれます。子を田舎へ送る父と、父を思いやる子たち。共に過ごした時間は短くとも互いを思う親子の絆が感じ取れました。
藤村の自伝的小説のひとつで、藤村42歳から50歳頃。洋行から帰った「私」が、母に死に別れた4人の子…
アパルトヘイト政策が廃止されたアフリカのある国で起こった、白人の極右勢力による痘瘡ウイルスを使ったテロ。黒人と共に戦うのは1人の日本人医師。芯に根付いた差別意識を変えるのは、何と困難なことでしょうか。
フィクションとはいえ、「黒人だけを対象にした痘瘡ウイルスによるテロ」という過激な内容を扱っているた…
幼い日に両親を殺された兄弟妹。詐欺師となった彼らは、時効間近に犯人逮捕のため警察を欺こうとします。でも何かが違う。一気読み必至の作品ですが、もう少し深いところを読みたかったというのが正直な感想です。
読み始めたら止まらない、一気読みの作品でした。 まだ小学生の3兄弟妹が、流星を見るため両親…