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“赤い怪物”(中共)を産んだアメリカは、それを始末する責任があります!
そのためには日本も協力すべきです
ジェームズ・E・ファネル&ブラッドリー・A・セイヤーの『“赤い怪物”を産んだアメリカ 世界を狂わせた米国エリートと中国共産党の結託』(経営科学出版)を読みました。
ジェームズ・E・ファネルは元米海軍退役大佐で、軍務歴は29年に及ぶ人です。米国太平洋艦隊の情報・情報作戦部長を務め、ジュネーブ安全保障政策研究所の政府フェローで、「中国の現在の危機に関する委員会 (Committee on Present Danger China)」の創設メンバー。
ブラッドリー・A・セイヤー(博士)も「中国の現在の危機に関する委員会」の創設メンバーであり、オックスフォード大学モードリン・カレッジの元客員研究員です。
「中国の現在の危機に関する委員会」(Committee on the Present Danger: China)ときくと、ソ連に対してもたしか同じような名称の危機委員会が80年代(前後)にアメリカで創設されていたことを思い出しました。超党派というか、ネオコン中心というか、ソ連の軍事力に対する危機認識が甘い状況下にあったアメリカ国内で大きな衝撃を与えたものでした。しかし、その委員会創立によってソ連打倒の面では一定の成果を挙げたと記憶しています。
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産経新聞の古森義久さんは、この「中国の現在の危機に関する委員会」の発足時(2019・5)の時点で、「中国とは共存できない!」米国が危機委員会を設置した――との記事をJBプレスに書かれています。
それによると、この委員会は「中国共産党の誤った支配下にある中華人民共和国の実存的な脅威について、米国の国民と政策立案者たちを教育し、情報を与えるための自主的で超党派の努力を進める」「その目的は、加速する軍事拡張や、米国の国民、実業界、政界、メディアなどを標的とする情報工作と政治闘争、サイバー戦争、経済戦争などから成る中国の脅威を説明することにある」とのことです。
本書は、その委員会の創設メンバー二人による「赤い中共警戒論」です。
まず、戦前から中国共産党(中共)の脅威をいかに軽視し、国策を誤ってきたかが詳述されています。
浅はかな戦略で、蒋介石を見捨てて1949年の人民共和国建設に寄与。その結果、朝鮮戦争で痛い目にあい、文革時代には一歩距離を置きかけたものの対ソ戦略上、迎合してしまう。国交を回復し、ソ連崩壊後も鄧小平の戦略に幻惑されて経済協力をしてしまい、今日の危機を招いてしまったわけです。
最近、元豪州大使の山上信吾さんとジャーナリストの門田隆将氏の『媚中 その驚愕の「真実」』や、石平氏&金文学氏の『中国に媚びるな 帰化人二人の警鐘』(ワック)を読みました。中国に媚びる政治家や財界人やマスコミに対する批判がなされていますが、米国内部にも、ほぼ同様の媚中派が存在していることがよくわかりました。
中国の人権改善を促進する最善の方法が「市場改革と貿易を奨励することである」として、最恵国待遇を安易に与えた米国の対中政策が、結果として中共の軍拡を奨励することにもなったわけです。
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著者たちは、「中国はレーニン主義に基づく共産主義によって提議されている」とみなし、「結婚している独身者が存在し得ないように、平和主義のレーニン主義者も存在し得ない。定義上、レーニン主義者はすべて好戦的である」として、習近平もまた同様とみなしています。的確な定義ですね。
ということで、かつての対ソ封じ込めのためのトルーマン・ドクトリンのような新たなドクトリンを提起せよと指摘しています。同感ですね。
トルーマン・ドクトリンは、当時(1947年)、ギリシャとトルコが必要とする援助を受けなければ、ヨーロッパの各地で共産主義のドミノ現象が起こるだろうという危機感から発せられました。いまの北東アジアでは、台湾や韓国、ひいてはフィリピンや日本が共産化(中共化)する危険はゼロとはいえない現状です。
少なくとも「フィンランド」化的な状況が、台湾や韓国やフィリピンや日本に生じつつあります。いわゆる媚中派の増大です。政権内部にも容共リベラル派が忍び込んでいるわけです。
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そうした媚中勢力といかに戦うべきか。そのさまざまな取り組みについて、詳細に提案をしています。巻末にはトランプ大統領に対する公開書簡(「中国に関する方針を維持せよ」)も収録されています。ソ連を崩壊させるのに貢献したレーガンのように、トランプが中共を崩壊させることに貢献することができるかどうか。
ソ連を崩壊させたレーガンにノーベル平和賞が授与されることはありませんでしたが、もしトランプが中共を崩壊させることに貢献するならば、今度こそノーベル平和賞が授与されることになるかもしれません。
本書の帯で、ロバート・エルドリッヂさんが「今までの米中問題の本質を暴露し、具体的な政策を提言しているこの本は、日本政府がいますぐ参考にすべきである」と指摘していますが、これまた同感です。
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世の中、何が起こるかわかりません。
“赤い怪物”を産んだアメリカ……。産ませた責任を自ら追及し、今度は"赤い怪物"を解体処理廃棄する責任があるでしょう。でも、日本も同様の中共甘やかしをしてしまいました。
日中復交時の無戦略外交の失態については、門田隆将氏の『日中友好侵略史』(産経新聞出版)で描かれている通りです。
復交後の日本とて、天皇訪中の容認、細川内閣等々の対中迎合外交等々、米国のニクソン以降の対中外交と「五十歩百歩」でしょう。台湾とて、国民党の堕落ぶりは情けない限りです。
日本も相応の負担を覚悟し、米国がふらつかないように見張りながら、共に対中強硬外交を展開していくべきでしょう。そのために「靖国カード」を切って、トランプ大統領と高市「首相」が靖国神社に参拝もすべきなのです。そうした視点が、「中国の現在の危機に関する委員会」(Committee on the Present Danger: China)にも出てくるといいのですが……。
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余談ですが……。
米国の第二次大戦前後の対中外交政策の過ちについては、フリーダ・アトリーの『アトリーのチャイナ・ストーリー』(日本経済評論社)がとても参考になります。
戦前はマルキストとして活動し戦後マッカーシーとともに「反共陣営」で論陣を張り、のちに袂を分かったフリーダ・アトリーという女史は大変ユニークな研究家です。健全な反共リベラルの立場からレッドチャイナを的確に分析していました。
中共との戦いに関しては、「『ワーク・ライフバランス』ならぬ『媚中』という言葉を捨てて、戦って戦って戦って戦い続けます」との覚悟が必要でしょう。そういう覚悟のある人でないと、日本の首相は務まらないと思います。
では、ごきげんよう。
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現代史関連の本や雑誌が好きです。そうした本の紹介をしていきたいと思います。皆様の読書の参考、そんな本があるのかとの発見があれば幸いです。
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- 出版社:経営科学出版
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- ISBN:9784867690918
- 発売日:2025年08月31日
- 価格:3278円
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