帯の文言を抜き書きします。
家族のルーツ、神童時代、グルダとの出会い、
輝かしいデビュー、初めてのレコーディング、
キャリアの中断、恋愛・結婚・出産、
ショパン・コンクール、子育て、闘病、日本と祖国、
そして現在……迫真の伝記に明かされる天才ピアニストの実像!
……
並はずれたスケールの人だ、とは思っていましたが、
なるほど、やっぱり……という感を強くしました。
ピアノ、初めて弾いたのは2歳8カ月のときで、
それも保育園で男の子に「どうせピアノは弾けないよね!」
と「新たな挑戦をされて身体に電気が走」ったため。
初めてピアノに向かったというのに、
「敏捷な指使いで、毎日昼食後に聴かされる子守歌のメロディを難なく弾いてのけ」
「それでも相手が懲りたよう数を見せないので、さらに歌を何曲も自分の指が奏でているのをマルタは他人事のように聴き、…」
といった具合で、彼女の天才ぶりを、保育士、そして両親が知ることとなった、
ということだとか。
……
私、中学時代にアルゲリッチの演奏にハマり、
彼女の演奏ばかりを聴いていて、当時のピアノの先生に戒められました。
「アルゲリッチを真似てはいけません。ポリーニかアシュケナージを聴きなさい!」
なんといいますか、「聴く人をハマらせる」パワーに満ち満ちていますね。
アルゲリッチの演奏って。
それは、彼女の人間性そのものなのだなあ。。。と本書を読んで思いました。
生き方。破格、です。
自宅には、生活に困った人たちをどんどん呼び入れてしまう、とか、
楽譜を一度見れば、すぐに暗譜できてしまう、とか、
父親の違う、3人の娘を持つ、とか、
命にかかわる癌を患っても、それを克服してしまう、とか……
中でも、心に残ったのは、
彼女が自分を音楽のアマチュアだと思っている、学生だと思っている、
というくだり。
音楽家には、それこそさまざまなタイプがあるけれども、
彼女は、彼女がこれを思う人に「一緒に音楽しましょうよ!」と言わずにはいられない、
ゴッドマザーとでもいうべき側面があるのでは。
それは、「教える」「導く」とはちょっと異なり、この本のタイトルにあるとおり、
「子供のような素直な感情」で、彼女の持つ「魔法」なのかもしれません。
彼女が主催する、別府アルゲリッチ音楽祭、ルガーノ音楽祭、
などの様子を見るにつけ、そう思います。
ほんと、スケールの、大きな、大きな、人です。
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