上下巻通しての書評です。
常に凶悪犯罪の絶えないデントン警察署ですが、今回も八歳の少女ヴィッキーが行方不明になっています。
ヴィッキーが姿を消して九週間、今度は七歳のジェニーが姿を消したと母親が警察に駆け込んでくる。
だが少女が行方不明になったのは前日のこと、放任主義の母親は自分の彼氏が止まりに来るからとジェニーを祖母の家に行かせたまま連絡もせず丸一日たってようやく娘が消えたことに気づいたのだった。
子どもには優しいフロストは、一月の寒空の中でもしジェニーが生きていたら寒い思いをしているだろうと大捜索隊を指揮します。
だがすべて空振りに終わってしまい超過勤務手当がかさんだとマレット署長に絞られることに。
もちろん少女たちの行方を探すだけでなく、武装強盗や枕カバーに盗品を入れて持ち去る連続窃盗犯、そして娼婦の殺人事件に死後三~四十年たっていると思われる白骨死体の事件と犯罪のオンパレードだ。
しかもアラン警部は出張中で、代理を務めていたリズまで一身上の都合で一週間ほど休みを取ってしまいます。
すべての事件の責任者になってしまったフロスト警部は相変わらず下品なジョークをとばしながら書類仕事を投げ捨てて奔走します。
今回のフロストの相棒はウェールズ訛りの「芋兄ちゃん」ことモーガン刑事だった。
この芋兄ちゃんは四十手前にもかかわらずちょっといい女がいたら口説きにかかり、しかも小犬のような表情が受けるのか痴情沙汰を何度も引き起こす。
フロストを「親父さん」と呼んで懐いているようですが、致命的なミスが多くて制服組からさえも職業に向いていないと評される有様だ。
フロストは決して「ミスをするな」とは怒らない。
「捜査上でミスをしたら隠そうとせずにすぐ報告しろ」となんとも立派な上司です。
だがフロストがモーガンを一番叱責したのは捜査でミスをしでかした時ではなく、サッカーか何かの世紀の一戦のビデオを撮り損ねた時だった。
フロスト警部が駆け回るほど事件は増える。
今回もフロストの奮闘の甲斐なく、「夜の姫君」こと立ちんぼの娼婦たちが次々に殺されていく。
しかも鞭で打たれ煙草の火を押し付けられた傷跡も生々しい拷問された遺体だった。
「よし、おとり捜査しかない」となるが、これまでの経験ではおとり捜査が成功したことはないはず。
危うく事件そのものを忘れかけていたり、おとり捜査に失敗して青くなったりと失敗を重ねつつも最後にはすべての事件に決着がついて終わるのは恒例通り。
フロストみたいな上司は欲しいがフロストみたいな上司にはなりたくないという不思議なキャラだった。
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